ゲーム

Life is Strange2をクリアした感想【ネタバレ有り】

LifeisStrange2

スクエアエニックスと言えばやはり「ファイナルファンタジー」や「ドラゴンクエスト」が目立ちますが、それはRPGの話。スクエニの名作アドベンチャーと言えばライフイズストレンジシリーズ。

初めて存在を知った時は驚きましたね、スクエニってこういうゲームも出してるんだ、と。

筆者はプレイヤーの選択肢によってストーリーが変化していくアドベンチャーゲームが大好物でして、「かまいたちの夜」「428~封鎖された渋谷で~」「忌火起草」「Detroit Become Human」など、どれも最高に楽しめました。428なんかは徹夜してやってたなぁ……。

そんなわけで、ライフイズストレンジ1も最高に楽しかったわけですが、2のあらすじを見た時はちょっと「うーん、どうかな」といった印象だったんですよね。

何と言っても1が素晴らしすぎて。カメラが趣味のちょっと内気な女主人公マックスになりきって、アメリカの学生生活を体験するあの感じ。音楽も雰囲気も文句なし。

2はガラッと雰囲気が変わり、兄弟の逃避行がメイン。もう、あからさまに暗そうだし、兄弟の絆的な物語はそんなに好きじゃないし。

でも、シナリオゲー好きとしてはやらないわけにはいかない。

以下、ガッツリネタバレ有りの感想記事となります。

エピソード1

ストーリー(前半)

16歳の兄、ショーン。9歳の弟、ダニエル。思春期真っただ中のショーンは、弟の事が可愛くもあるがうっとうしくもある。母親は2人が小さい頃に家を出て行っており、ショーンとダニエルは父親と3人で暮らしている。

洋ゲーって母親がいなくなって父親が荒れるケースが非常に多い気がしますが、ショーンとダニエルの父親は荒れることもなく、車整備の仕事をしながら2人に愛を注いでいた。

ある日、ダニエルが近所の金持ち坊やと揉め、ショーンが仲介に入る。ショーンと金持ち坊やは喧嘩になり、それを偶然発見した警官が銃を持って近づいてくる。騒ぎを聞きつけた父親が止めに入るが、父親は警官によって撃たれてしまう……。

銃に怯え、焦り、パニックになったダニエルが叫ぶと、警官含め周囲のものが一瞬で吹き飛んでいった。そのまま気を失うダニエル。

ショーンは何も分からないまま、ダニエルを連れて逃げ始める。

こうして2人は警官殺しの罪を負い、逃げる事になる。

感想(前半)

ショーンはあの日、学校の友達とパーティに参加する準備をしてたんですね。そのパーティーには好きな子も参加するし、仲の良い友達も来るし、めちゃくちゃ楽しみなわけですよ。

そんな日常が一瞬で壊される理不尽。神がいるならマジで恨む。

そしてお父さん。いきなり死んじゃうなんて(´;ω;`)ウッ…

良い人だったんですよ。パーティーの為に金が必要なショーン、家の中にある小銭入れから「10ドル盗むか、盗まないか」という選択肢が出るんですが、まぁ10ドルくらいならいいでしょ、と筆者は盗んだんですね。

でもその後、お父さんの車整備の手伝いをしたら、お父さんが30ドルくれて……。良心が痛み、10ドルはそっと小銭入れに戻しました。

短い登場シーンでしたが、子供たちから愛されている父親、という人物像は十分に伝わりました。

ストーリー(後半)

森の中を野宿しつつ、歩を進めるダニエルとショーン。

空腹と疲労も限界に近づいてきたところ、ガソリンスタンドを見つけ、そこで休息を取ることになる。

ガソリンスタンドのオーナーのおじさんに逃亡者である事がバレてしまい、ショーンは監禁されてしまうが、ダニエルの協力を得て、何とか監禁から脱出する。

その後、ガソリンスタンドにいたブロガーのブロディに助けてもらい、精神的にも金銭的にも支援してもらった結果、あるモーテルに泊まれることに。

ここに至るまで、ダニエルは自分がなぜ旅をしているのか、何から逃げているのかあまり分かっていない状態だったのですが、モーテル内のテレビで父親が死亡した事、自分たちが犯人と疑われている事をようやく知ることになる。

ショーンは真実を知ったダニエルを何とかなだめ、2人がバスに乗り逃亡の旅を続けるところでエピソード1は終わる。

感想(後半)

いやー、ガソリンスタンド楽しかったですね。オーナーのおじさんに逃亡者とバレるまでは、スタンド内のショップで自由に行動できるんですよ。

ショップ内には食料飲料はもちろんのこと、これからの逃避行に役立ちそうなキャンプ用品まで……。

この自由に行動、というのがミソで、お金を払って食べ物を買ったりはたまた万引きを働いたり他の客に対して恵みを乞うこともできる

ゲームの中とはいえどうしても万引きが出来ない筆者は、父親からもらった30ドルで大人しく長持ちしそうなパンと、ダニエルの好物であるチョコクリスプ、あとUFOキャッチャーを一回だけやってショッピングを終えました。

しっかし、ガソリンスタンドでこんなに時間を潰せるゲームと言うのも、ライフイズストレンジくらいではなかろうか。

監禁から脱出する際は、ショップからキャンプ用品を盗んで逃げる事も出来たのですが、筆者は思いとどまりました。(後から他のプレイヤーの選んだ選択肢を見る事が出来るのですが、盗んだ人が多くて驚き。まぁ生きるためには綺麗ごと言ってられないのかもしれないなぁ。)

そして、ブロディは良い人すぎ。あんな大人になりたい。

エピソード2

ストーリー

ガソリンスタンドから連れてきた捨て犬のマッシュルームと一緒に、兄弟はある空き家を拠点にしばらく生活していた。

ダニエルが警官を吹き飛ばしたのはサイコキネシスのような超能力であり、その能力のコントロールやパワーの特訓をして日々を過ごしていた。

しかし、食料も金もいずれは底をつくし、ダニエルの体調も悪化してきており、いつまでも空き家にいるわけにはいかない。2人と1匹は空き家を発つことにするが、その1匹は野生動物に殺されてしまう……。

悲しい別れの後、2人は祖父母の家にたどり着き、ようやく安らぎを得る。隣の家に住む少年とも仲良くなったり、クリスマスマーケットに出かけたりもするが、警察が2人の存在を嗅ぎ付け、2人はお世話になった祖父母、少年を後に、更なる逃避行を続ける。

感想

マッシュルーム。いきなり死んじゃうなんて(´;ω;`)ウッ…

マッシュルームを殺した野生動物に対し、ダニエルは超能力を使って報復しようとするんですが、その際に選択肢が出るんですよね。

「報復させる」

「ダニエルを止める」

これがまた良い選択肢ですよねぇ。与えられた力を感情のまま振るうか、理性で暴力を抑えるか。

筆者はダニエルを止めました。そして、ここでようやくこのゲームのやりたい事が分かってきました。

つまり、兄として如何に弟を導くか。

筆者はそれはそれは倫理的な人間ですので、感情のままに能力を振るわないようダニエルをしつけていこうと決めました。能力を使っていいのは人助けをするときだけ。大いなる力には大いなる責任が伴う事を知ってもらわねばいかん。

そして、この思いは早くもぶれる事になります。

祖父母の家でしばらく生活していたショーンとダニエルですが、ショーンはダニエルの超能力が危険なものであることは理解しているんですね。人にバレたらどうなるかも分からないし、とりあえず隠していこう、という思いを持っている。筆者もこれに賛成で、ダニエルの能力は基本的には隠したいと考えている。

そんな中、些細な事から本棚が倒れ、お爺ちゃんが下敷きになってしまいます。無理をすればお爺ちゃんが傷付くかもしれないが助けられそうだ、しかし能力さえ使えばお爺ちゃんをほぼ無傷で助けられそうだ。

「能力を使って救う」

「能力を使わずに救う」

筆者は、「能力を使わない」事を選びました。

これは、どうしても能力をばらしたくない、言わば保身の感情が強かったんでしょうなぁ。人を救う為なら能力がバレるなど厭わずに使ってしまっても良かったのかもしれない、「保身」vs「自己犠牲」の選択肢で、筆者はまんまと「保身」を行う人間性であることが突きつけられました。

人間性を暴いてくるゲーム、ライフイズストレンジ2。

エピソード3

ストーリー

ショーンとダニエルの目的地は、父親の生まれ故郷であるメキシコ。しかし、メキシコに渡るにせよ生きるにせよ金が要る。2人は、違法薬物を栽培している農園で働くことになる。

いかにもアウトローなフィンという男性や、姉御肌なミュージシャンのキャシディという女性など、個性的な仲間たちと過ごす農園生活は、2人にとって刺激的で楽しい生活だった。

そんな中、ダニエルの超能力が仲間たちにバレてしまい、フィンがその能力を利用して農園の稼ぎをかっさらおう、という犯罪計画を企てる。

結果、犯罪計画は農園の管理者側にバレてしまい、危うく全員銃殺されそうになったところで、ダニエルが超能力を暴発させる。

ショーンも体を激しくぶつけ、倒れているショーンといなくなってしまったダニエルが映し出されてエピソード3が終わる。

感想

いやー、難しいですねぇ。9歳という年齢。

周りから影響をガンガン受ける年ごろですよ。こうなったらもう保護者が何言っても厳しいですよね。四六時中見張っているわけにもいかず、見てないところでどんな影響を受けているか分からないし、小言を言ってもうっとうしく思われるだろうし……。

兄であるショーン、というか筆者的には、これまで「盗みは働くな」「嘘はつくな」「能力に驕るな」と真っ当な人間になるようにしつけてきたつもりが、アウトローの友人1人で台無しになるとか、これまでの苦労は何だったんだ、という。

教育の難しさを突きつけられるゲーム、ライフイズストレンジ2。

そして、ショーンはダニエルの保護者であると同時に、1人の思春期真っただ中の少年でもある。キャシディなんてセクシーな女性がいたら、そりゃつい夢中になってしまうよ。キャシディといちゃつくかいちゃつかないか、というのも選択肢にはなっているわけですが、筆者はガンガンキャシディといちゃついてました。

そしたらね、ダニエルはどうもお兄ちゃんが取られた、と思ってしまったみたいで……。これは想定外でしたねぇ。ダニエルはフィンと仲良くしてたからショーンの事は頭にないのかと思ってたら、子供って意外とよく見てるんですね。

まぁー、でもショーンにもショーンの人生があり、ダニエルの教育の為に女性と仲良くするのを我慢する、というのも違う気がするし。

ちなみに、キャシディから誘われてテントに入るか入らないか、という選択肢があるのですが、あんなん100%入るやろ、と思ったのですが入らない選択をしたプレイヤーも少なからずいたみたいで驚きました。

エピソード4

ストーリー

ショーンは警察に捕まり、失明した左目の治療の為、入院していた。ダニエルを探すべく病院から脱走したショーン。盗んだ車で走り出す。

ダニエルは、とある宗教団体に保護されていた。超能力を使えるダニエルは信仰の対象として崇められ、逃避行なんかよりずっといい暮らしを送っている。迎えに来たショーンの事も拒否する。

途方に暮れるショーンだったが、家族を捨てて家を出て行った母親と再会する。母親と微妙な距離感ながらも協力し、ダニエルを説得して宗教施設から奪還する。

感想

兄としてはね、絶望ですよね。

左目失明したのも痛いが、やっとの思いで見つけた弟が宗教の商売道具にされている。しかも自分を拒否している。

もう弟なんてほっとこう、と思っても不思議ではないですが、諦めないショーンに兄貴としての甲斐性を感じますね。

エピソード5

ストーリー

宗教施設から脱出した兄弟は、母親が現在身を寄せているというグランドキャニオン近くにある集落で過ごしていた。

その集落では、違法農園とは違った雰囲気の世間からのはみ出し者集団がアウェイというコミュニティを形成し、生活している。

和解した母親もいるし、居心地のいい場所だったが、警察は追ってきており、いつまでもそこにいるわけにはいかない。ショーンとダニエルは母親、アウェイに別れを告げ、車に乗ってメキシコへの国境に到着する。

あと少しで国境を越えられそうになったところで、国境警備隊に捕まってしまう。が、ダニエルの超能力で拘束から脱出する。

再度、車に乗って国境突破を試みるが、目の前には銃を装備した警官の集団。

最後の選択肢が表示される。

「自首する」

「国境を越える」

感想

ここまで来てようやく、ダニエルの成長、兄弟の絆の深まりを感じましたね。教育の成果が出た……!

しかしアウェイの集団は本当に楽しそうで、グランドキャニオンに本当にあんな集落があれば滞在してみたいなと思わされた。自由に生きている感じが良いんですよねぇ。

アウェイにいたのはプレイ時間にして2時間かそこらくらいだったんですが、それでもアウェイから離れるのはすごく寂しく感じた。それくらい、あの場所、あの場所で生きている人々がリアルだったんだろうなぁ。

そして、最後の選択。

筆者は、「国境を越える」を選択しました。

国境を越えるためにここまで旅してきて、そのゴールが今目の前にある。それを逃したくない、これまでの過酷な旅を無駄にしたくない。

国境さえ越えればこの過酷な運命を背負った兄弟は、幸せになれる。そう思っての苦渋の決断でした。

エンディング

エンディングは、これまでダニエルをどのように導いてきたか、そして最後の選択肢でどちらを選んだかにより、分岐します。

筆者がプレイした際に訪れたエンディングは

国境を越えると言ったショーン、やはり行く事は出来ないと考えたダニエル。ダニエルは車から飛び降り、ショーン1人が国境を越える。

数年後、好青年に成長したダニエルがいる祖父母の家に、ショーンから手紙が届く。その手紙には、元気に過ごしているであろうショーンとキャシディの写真、そしてメキシコの土が入っていた。

いやーー、もやもやするエンディングでしたね。まさか、ダニエルがメキシコ行きを直前で拒否するとは思わなかった。これまで、善なる道を善なる道を、とダニエルを導いてきたつもりが、最後の最後でダニエルが正しい選択をし、導いてきた側が正しくない選択をしてしまう、という。

自首すべきだったか、しかし自首してしまうとこれまでの苦労は何だったのか、とやはり思ってしまうが……。

ちなみに「自首する」を選択した場合は、ショーンだけ逮捕され、ダニエルは9歳ということで逮捕はされず。そのままショーンは15年間も刑務所に入ることになる。

刑務所から出たショーンは、出迎えに来たダニエルと再会し、抱き合う。そして、逃避行の最初の思い出の地である森で語らう。この時、ショーンは泣き、泣いているショーンをダニエルが抱きしめますが、もう複雑ですよ。

15年という時が経った、ようやく解放された、なぜ自分はこんな目にあったのか、これからどうしていけばいいのか、そんな色々な感情に押しつぶされたらそりゃ泣けてきますし、泣いている自分を気遣ってくれるダニエル、ダニエルお前成長したな……ってことで更に泣ける。

森から出た2人は車に乗って、別々の方向に分かれていく……。

いやー、これも切ないですけどね。ライフイズストレンジ1は良くも悪くも、極端に表現してしまえば「友を救うか、世界を救うか」だったわけですが、2は複雑だなぁ……。

総評

プレイヤーを悩ませるストーリー体験、という意味では間違いなく大成功している。

これはもう、ライフイズストレンジ1から変わらない。思わずコントローラーを置いて「うーーーーーん」と唸ってしまう。

今回筆者は、自分の年齢もあって保護者目線でのプレイ体験になりましたが、10代前半の時にプレイしていたらどうなってたか、プレイヤーの年齢によっても考えさせられることが違ってくると思います。

最後は月並みですが、やはりこの言葉で締めたい。

人生は奇妙だ。